スパーリングですぐ疲れる人へ|スタミナより先に見直したい力み

脱力・力み

数ラウンドで息が上がって、動けなくなる

数ラウンドで息が上がって、動けなくなる

スパーリングを始めて数ラウンド。まだ序盤なのに、もう腕が上がらない。息はぜえぜえと切れて、足が止まる。相手はまだ余裕そうなのに、自分だけ先にへばってしまう。

そんな悔しい思いをしたことはありませんか。

「スタミナが足りないんだ」と考えて、走り込みを増やす。ランニングの距離を伸ばす。それでも、いざスパーになると同じように早い段階でバテてしまう。走れる体力はついてきたはずなのに、なぜか組み合うと続かない。

この「走れるのに、動けない」というズレには、スタミナの量とは別の理由が隠れていることがあります。

走り込みを増やしても、疲れ方が変わらないことがある

持久力をつけるために走り込むのは、格闘技では昔からの定番です。心肺を鍛えることには意味があります。ここを否定するつもりはありません。

ただ、ランニングで走れる距離が伸びても、スパーリングでの疲れ方が変わらない、という話はよく聞きます。まっすぐ走る運動と、相手と向き合って動く運動とでは、体の使い方がまるで違うからです。

スパーリングでは、緊張しながら、力を入れたり抜いたりを細かく繰り返します。このとき、うまく力が抜けていないと、走るときには使わないような無駄な消耗が積み重なっていきます。

つまり、バテる原因が「体力の総量」ではなく「エネルギーの使い方」のほうにあることがある。だとしたら、走り込みをいくら増やしても、疲れ方の根っこは変わりにくいのです。

力みっぱなしの体は、動いていなくても消耗している

力みっぱなしの体は、動いていなくても消耗している

力が抜けない体は、どういうときに消耗するのでしょうか。

じつは、打っているときや動いているときだけではありません。構えているだけの時間、相手と間合いをはかっているだけの時間にも、肩や腕にぐっと力が入っていると、体は静かに消耗し続けています。

ぎゅっと拳を握りしめ、肩をすくめ、全身をこわばらせたまま構える。この状態は、じっとしているように見えて、筋肉はずっと働いています。動く前からエネルギーを垂れ流しているようなものです。

そこへ実際の打ち合いが加わるので、消耗は一気に加速します。数ラウンドで力尽きてしまうのは、心肺が弱いからというより、ずっと力みっぱなしで燃料を無駄使いしているせいのことがあるのです。

力を込めているのにパンチは軽い。頑張っているのにすぐバテる。この矛盾した感覚は、多くの場合、抜けるべき力が抜けていないところから来ています。

抜くところが抜けると、同じ運動量でも楽になる

「力を抜け」と言われると、手を抜く、気を抜く、という意味に聞こえてしまうことがあります。でも、ここで言う脱力はそれとは違います。

必要な瞬間には力を入れる。でも、それ以外のときはすっと抜けている。この入れ替えができている状態が、疲れにくい体の使い方に近いといわれます。

打つ瞬間だけ全身を締めて、打ち終わったらまたゆるむ。構えているあいだは肩の力が落ちている。この緩急がついていると、同じ数のパンチを打っても、消耗はぐっと少なくなります。

反対に、ずっと力を入れっぱなしだと、緩急のない一本調子の動きになります。キレも出ないし、疲れも早い。抜くことは、サボることではなく、長く動き続けるための土台なのです。

体が整うと、無駄な力みが減って長く動ける

体が整うと、無駄な力みが減って長く動ける

格闘技の指導に携わっている方から、こんな話を聞いたことがあります。すぐにバテてしまうのが悩みだった方が、体の使い方を見直して力みが減ってきたところ、「同じ練習量なのに、後半までもつようになった気がする」と話していたそうです。

心肺を追い込むトレーニングを増やしたわけではなく、余計な力が抜けたことで、無駄な消耗が減った、という変化だったといいます。

別の方は、いつも肩に力が入っているタイプだったのが、体がゆるんできたときに「動きが軽くなって、息が上がりにくくなった」と感じたそうです。スタミナがついたというより、消耗そのものが減った、という感覚だったとのことでした。

体の土台が安定して、余分な力が抜けてくると、上半身は必要のない仕事をしなくてよくなります。すると、同じだけ動いても、疲れ方が変わってくる。走り込みとはまた別の入口から、動き続けられる体に近づいていくようです。

頑張って抜くより、抜けた状態を知る

抜くべき力が抜けた体がどれだけ省エネか、というのは、説明を読むより実際に感じてみるほうが早いです。その状態を一度知っておくと、スパーの最中に「あ、今ムダに力んでいるな」と自分で気づけるようになります。

すぐ息が上がるのをスタミナ不足だと決めつけて、走り込みばかり増やしてきたのなら、一度立ち止まってみてください。減らすべきは走る距離ではなく、動いていないときにも続いている力みのほうかもしれません。

力が抜けて消耗の少ない体がどんなものか、一度、動きの中で試してみませんか。

力みの少ない体で動く感覚を試してみませんか
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