ミット打ちでは手応えがあるのに、スパーになると全然効かない。そんな経験はありませんか。力を込めているのに、何か抜けていく感じがする。
コーチから「全身を使え」「力を抜け」と言われても、何をどう変えればいいのかわからない。体を使っているつもりなのに、動きが腕で止まってしまう。
その理由のひとつとして、よく聞くのが「軸が通っていない状態で打っている」という話です。軸が整ってから力の伝わり方が変わった、という事例は格闘技の現場でも少なくありません。この記事では、体の軸を作ることで打撃にどんな変化が起きやすいのかを、事例をもとにお伝えします。
そもそも「体の軸」ってなんだろう?
体の軸というと「姿勢のことですか?」と聞かれることがよくあります。姿勢に近いのですが、少し違います。
背骨を真っ直ぐにするというより、足裏から頭頂まで力が一本の線のようにすっと通っている状態、とイメージするとわかりやすいかもしれません。立ったとき、動いたとき、打つとき、その「線」がぶれずに体の中を通っている。そういう状態を、ここでは「体の軸がある」と呼びます。
実はこの軸、現代人のほとんどが持ちにくくなっていると言われています。普段の生活でデスクに向かい、スマホを見ている姿勢のまま体を動かすと、力が体の中を通らずにどこかで漏れてしまいます。格闘技をやっていても、体の使い方の土台が整わないまま技術を積み上げると、ある段階で伸び悩みやすくなることがあります。
打撃で体の軸ができると変わる5つのこと
1. パンチや蹴りに体重が乗るようになった
「打っているのに軽い」と感じていた方が、軸を作ってから体重が乗るようになった、という話があります。
腕だけで打っているとき、パンチに乗るのは腕の質量だけです。ところが体の軸が通ると、体全体の重さが拳に向かって流れやすくなります。力を込めているかどうかより、力の流れる道が通っているかどうかのほうが打撃の重さに影響するという考え方です。
2. 手打ちにならなくなった
腕だけで打つ「手打ち」は、格闘技を始めたばかりの人によく見られます。コーチに指摘されても、どう直せばいいかわからないまま続けてしまうことも多いです。
体の軸が整えやすくなると、体幹から力が伝わる感覚が出てきたという事例があります。腕ではなく体が動いている感覚、とでも言えばいいでしょうか。手打ちをやめようとするより、体の状態を先に整えるほうが変わりやすい、という声も聞きます。
3. 相手に押し込まれにくくなった
スパーで相手の打撃を受けたとき、ぐらっと体が崩れてしまう。そういう経験をしたことがある方は多いと思います。
軸が通っている状態では、外からの力に対してどっしりと受け止めやすくなります。ぐいっと押し込まれても崩れにくい、という感覚を持った方がいます。体の幹が安定していると、当たり負けしにくい状態になりやすいようです。
4. 踏み込みや反応が速くなった
動き出しが遅い、と感じている方に多いのが、体のどこかに余分な力が入っている状態です。
力が入っているほど、動き出す前に解放する動作が入るため、初動が遅くなります。体の軸が整うと、その余分な力が抜けやすくなり、ふっと一歩目が出るようになったという話があります。反応も変わった、という事例もあります。
5. 後半まで動きが落ちにくくなった
練習の後半になると疲れてきて、動きが鈍くなる。スタミナが課題だと思って走り込みを増やしても、変わらない。そう感じている方は少なくないと思います。
体の軸がないまま動くと、バランスを取るための余計な筋肉の動きが増え、必要以上に力を使います。軸が通ると余計な力を使わずに動ける状態になりやすく、後半まで動けるようになったという声があります。スタミナの問題より、体の使い方の問題だった、ということもあるようです。
怪我や故障の予防にもつながりやすい
格闘技で怪我をしやすい部位として、肩・肘・手首・腰がよく挙げられます。これらはすべて、打撃の際に負荷がかかる場所です。
力みのある打ち方や体の使い方に偏りがあると、その負荷が特定の部位に集中しやすくなります。力で押し込もうとするほど、関節や筋肉に不自然な角度や圧力がかかりやすくなるからです。
体の軸が整えやすくなると、負荷が体全体に分散されやすいという話があります。断言はできませんが、軸を作ってから練習が楽になった、好きな競技を続けやすくなった、という声は少なくありません。
怪我で練習を休む期間が長くなると、技術の積み上げも止まります。好きなことを長く続けるための土台として、体の使い方を整えることを考えている方もいます。
早く土台を作るほど、技術が積み上がりやすい
体の軸は、技術を磨いてから後で作るものではありません。軸がある状態で技術を練習するほうが、動きが体に馴染みやすくなります。
逆に、体の状態が整う前に技術ばかりを重ねると、力みが癖として残ってしまうことがあります。「わかっているけど直せない」という感覚の背景に、技術以前の体の使い方があることも少なくありません。
土台を先に作ると、その後の技術の吸収が変わった、という事例は指導の現場でよく聞きます。何年もやっているのに変わらないという方ほど、体の状態から見直すと変化が起きやすいようです。
筋トレやミット打ちとは何が違うのか
筋トレもミット打ちも、格闘技の上達に必要なトレーニングです。ただ、体の軸を作るという観点では、少し違うアプローチになります。
筋トレは筋肉を育てます。ミット打ちは感覚と精度を磨きます。どちらも大事ですが、「力の通り道を作る」という点では、別の取り組みが必要になることがあります。
力を入れて押すのではなく、脱力した状態で軸を通す。そうすることで力が伝わりやすくなった、という話があります。筋トレをしっかりやってきた方が、体の軸を意識し始めてから動きが変わった、という事例もあります。
パンチ力の上げ方については打撃で力が伝わるパンチを作る考え方でも詳しく書いています。あわせて読んでみてください。
では、どうやって体の軸を作るのか?
体の軸を作る方法としていくつかのアプローチがありますが、そのひとつとして近年注目されているのが「イス軸法」です。
武術研究家の西山創先生が考案したもので、武術の世界で大切にされてきた体の使い方のエッセンスを、整体の知見を組み合わせて誰でも体験できる形にしたものです。 椅子を使った特定の動作を行うことで、体の軸が整えやすくなると言われています。
大きな特徴は、所要時間が約5秒という点です。特別な道具も大がかりな準備も必要ありません。それでいて、整えた軸の状態が一定時間持続しやすいという声があります。
格闘技や武術の練習に取り入れた方から、練習の感覚が変わった、疲れにくくなった、という話を聞きます。ただし、やり方の詳細は文章での説明が難しい部分があります。実際に体験してみることで、感覚として理解しやすくなります。
力を抜く考え方や脱力トレーニングについては力を抜くトレーニングの前に知っておきたいこともあわせてご覧ください。
まずは体験してみませんか
体の軸は、読んでわかるものより、感じてわかるものです。説明を聞いて「なるほど」と思っても、実際に体の中を力が通る感覚を持てるかどうかは、体験してみないとわかりません。
経験や年齢は問いません。特別な準備も必要なく、まず体験から始められます。
一人でじっくり体感したい方 → パーソナルレッスンで体の状態を確認しながら進められます。
ジムの仲間と一緒に受けたい方 → グループでの参加も可能です。複数人で体験すると変化を比べやすいという声もあります。
まず試してみたい方 → 体験会で軸が整えやすくなる感覚を試していただけます。時間や料金の詳細は体験会ページでご確認ください。
打撃の感覚が変わるとはどういうことか、まず体で感じてみてください。

コメント